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大阪地方裁判所 昭和42年(わ)498号 判決 1967年7月17日

本籍

大阪市東住吉区田辺本町四丁目五番地

住居

大阪市東住吉区田辺西之町一丁目四五番地

不動産業

内山宗次

大正一二年一二月二〇日生

本籍

大阪市東住吉区田辺本町三丁目一八八番地

住居

大阪市東住吉区田辺東之町一八六番地の二

不動産業

牛窪基晴

昭和五年一〇月四日生

右の者等に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官豊島時夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人内山宗次を懲役五月及び罰金一八〇万円に

被告人牛窪基晴を懲役六月及び罰金二三〇万円に

それぞれ処する。

被告人等において右各罰金を完納することができないときは金一万円を一日に換算した期間、当該被告人を労役場に留置する。

被告人等に対し本裁判確定の日から二年間右各懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人等はいずれも不動産売買業を営むものであるが、所得税を免れようと企図し、土地建物売却による収入の一部を除外する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、被告人内山は

(一)  昭和三八年度分の実際所得金額が一四、八五五、二八三円で、これに対する所得税額が六、五九三、五四〇円であつたのにかかわらず、右所得金額中一三、三六五、二八三円を秘匿して、昭和三九年三月一三日大阪市東住吉区内所在の所轄東住吉税務署において、同税務署長に対し、同年度分の所得金額は一、四九〇、〇〇〇円で、これに対する所得税額は一七三、〇七〇円にすぎない旨所得金額等を過少に虚偽記載した所得税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する所得税六、四二〇、四七〇円は法定の納付期限を経過するもこれを納付せず、もつて不正行為により右同額の所得税を逋脱し

(二)  昭和三九年度分の実際所得金額が一四、四二〇、七七三円でこれに対する所得税額が六、二六〇、六三〇円であつたのにかかわらず、右所得金額中一一、五五〇、七七三円を秘匿して昭和四〇年三月一五日、前示所轄税務署において同税務署長に対し、同年度分の所得金額は二、八七〇、〇〇〇円で、これに対する所得税額は五七一、四五〇円にすぎない旨所得金額等を過少に虚偽記載した所得税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する所得税五、六八九、一八〇円は法定の納付期限を経過するもこれを納付せず、もつて不正行為により右同額の所得税を逋脱し

第二、被告人牛窪は

(一)  昭和三八年度分の実際所得金額が一六、一六六、二六八円で、これに対する所得税額が七、三一五、三四〇円であつたのにかかわらず、右所得金額中一四、二七六、二六八円を秘匿して昭和三九年三月一三日所轄の前示東住吉税務署において、同税務署長に対し同年度分の所得金額は一、八九〇、〇〇〇円で、これに対する所得税額は二九二、七五〇円にすぎない旨所得金額等を過少に虚偽記載した所得税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する所得税七、〇二二、五九〇円は法定の納付期限を経過するもこれを納付せず、もつて不正行為により右同額の所得税を逋脱し

(二)  昭和三九年度分の実際所得金額が一七、九八一、五〇一円で、これに対する所得税額が八、二九二、五二〇円であつたのにかかわらず、右所得金額中一六、五六七、八〇一円を秘匿して昭和四〇年三月一一日前示所轄税務署において、同税務署長に対し、同年度分の所得金額は一、四一三、七〇〇円で、これに対する所得税額は一六四、二五〇円にすぎない旨所得金額等を過少に虚偽記載した所得税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する所得税八、一二八、二七〇円は法定の納付期限を経過するもこれを納付せず、もつて不正行為により右同額の所得税を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

被告人両名につき

一、押収に係るメモ一綴(昭和四二年押第五三六号一)手帳一冊(同号二)

一、黒川昌平作成の売上金額等調査事績書

一、森下良雄、福本正博、横田顕子、米谷金三、橋田種太郎、橋田キクヱ、増永シズ子、山中啓三、横田実(二通)、建井法子、有松辰蔵、岡田幸雄、吉田要太郎、下農成光、六室智恵子の各確認書

一、松本一郎外五名作成の銀行調査事績書一四通

被告人内山につき

一、同被告人の当公廷における供述並びに確認書二三通、大蔵事務官に対する質問てん末書八通及び検察官に対する供述調書八通

一、渡辺辰治郎の証明書(内山分)

一、黒川昌平作成の脱税額計算書二通

一、池田清夫の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、坂本祐治の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、道広稔の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、山口博子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、杉本修一の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、丸山登美枝の大蔵事務官に対する質問てん末書

被告人牛窪につき

一、同被告人の当公廷における供述並びに供述書二通、上申書二通、確認書二通、大蔵事務官に対する質問てん末書一六通及び検察官に対する供述調書四通

一、松本一郎の調査てん末書

一、吉田恵一の調査てん末書二通

一、吉田恵一外二名作成の銀行調査書七通

一、大虎材木店、中島守三の各確認書

一、黒川昌平作成の脱税額計算書説明資料

一、滝川晴之佑作成の脱税額計算書二通

一、川本克己の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、松井達雄の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、平野春子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、池原一郎の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、二川敏子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、渡辺辰治郎の証明書(牛窪分)

(法令の適用)

被告人等の判示各所為はそれぞれ昭和四〇年法律第三三号所得税法附則第三五条により改正前の所得税法第六九条第一項に該当するので、各罪につき懲役刑と罰金を併科することとし、右は刑法第四五条前段の併合罪であるから懲役刑につき同法第四七条、第一〇条により犯情の重い被告人内山に対する判示第一の(一)の、被告人牛窪に対する判示第二の(二)の各罪の刑に法定の加重をなし、罰金刑につき同法第四八条第二項によりその額を合算し、それぞれの所定刑期及び金額の範囲内において被告人内山を懲役五月及び罰金一八〇万円に、被告人牛窪を懲役六月及び罰金二三〇万円に各処し、同法第一八条により被告人等において右各罰金を完納することができないときは金一万円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置すべく、情状により同法第二五条第一項を適用して本裁判確定の日から二年間右各懲役刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 村上幸太郎)

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